こんにちは.電気通信大学 岡本研究室修士1年の綾部です.私は不動産物件の外観画像を用いた研究をしています.今回,マレーシアのクアラルンプールで12/9から12/12まで開催されたACM Multimedia Asia 2025に参加してきましたので,本記事ではその参加報告をお伝えします.
ACM Multimedia Asia 2025概要
ACM Multimedia Asia 2025は,SIGMMが主催する会議です.本会議では,口頭発表やポスター発表,チュートリアル,パネルディスカッション,デモンストレーション,シンポジウムなど,マルチメディア分野のあらゆる側面を網羅する技術セッションを含む,幅広いプログラムが組まれています.ACM Multimedia Asia 2025のスコープは,マルチメディア分野における新技術の最前線と新たなユースケースを網羅し,技術と応用の双方の未来について議論し展望することを目的としてます.マルチメディア領域および関連応用分野における課題に対処する,新規性のある理論的・アルゴリズム的解決策を提示する研究論文の投稿を募集しています.

口頭発表について
私は本会議では不採択となってしまいましたが,Workshopの方で採択いただいたのでそちらで発表することとなりました.Workshopのタイトルは「Visual and Signal Communication Technologies in Design of Housing, Urban Spaces, Local Communities, and Human Behavior」です.その名のとおり,不動産物件に関する研究をしている自分にはピッタリのWorkshopだったため,とても良い機会でした.
実際に発表した論文やスライドは,以下のリンクからご覧になることが出来ます.タイトルは「Estimation of Fireproof Structure Class and Construction Year for Disaster Risk Assessment」です.
発表では,不動産物件の外観から,築年代や構造,種類をマルチタスクモデルを用いて推定し,そこから耐火構造を推定する,という内容を話しました.発表後はモデルの精度や前処理,解釈性などについての質問をいただきました.様々な議論が出来たので,今後の研究に活かしたいと思います.

気になった発表
口頭発表から3つ,興味深かった研究を紹介します.
Adaptive Inter-Modality Attention for Enhanced Cross-Domain Deepfake Detection Transferability
こちらは様々な自然画像および人間の顔画像のデータセットを用いて,モデルのDeepfake Detectionの転移可能性を検証する研究です.およそ10のデータセットを用いて相互関係を全て検証し,その上でドメイン適応を確認するということで,多くのモデルとデータで検証しているところに採択された論文の研究力を感じました.実世界における活用方法が想像できるような内容なので,どんどん発展して欲しいものです.これからの時代,生成AIによる画像やデータが世の中に溢れていく中で,それらの精度向上に伴いこういったAI画像などに対する検出力も同時に向上していくでしょう.現代の世の中の遷移に関係したホットな研究テーマで大変面白かったです.
NeuroSwift: A Lightweight Cross-Subject Framework for fMRI Visual Reconstruction of Complex Scenes
こちらの研究は,人が何かを見ているときに脳が発する神経的な電気信号を基に,その画像を拡散モデルを用いて再現する,というものです.fMRIを使用しているためコストの掛かるテーマではありますが,大変興味深いトピックで,そのような技術があること自体を知りませんでした.確かに拡散モデルの生成力があれば,電気信号のような人間が解釈できないデータを用いても画像を生成できるというのは納得できましたし,実際に発表内で紹介されている実例を見て本当に再現が出来ているということに驚きました.現時点では静的なデータセットにおける実験でしたが,将来的にはより現実的な研究をする予定とのことで,とても目を惹かれたトピックでした.
EmoSEM: Segment and Explain Emotion Stimuli in Visual Art
この発表は,SAMという画像から対象を切り取るセグメンテーションが得意なモデルとLLMを組み合わせて,美術品に対して鑑賞者が感じるであろう感情を説明させる,という研究です.絵画などを見たときに感じる安心感や恐ろしさなどの印象を局所的に説明することが可能なため,美術品に対する説明文を作成するのがより容易になるでしょう.また,SAMやLLMという強いモデルを上手く組み合わせる研究は現代のAI研究の手法として大変興味深く,タスク設計などの工夫点には膝を打ちました.今後は感情などの説明だけでなく,作品自体の背景や文脈などまで説明できるようになるでしょうし,私自身美術作品を見るのが好きなので,今後もチェックしたい研究でした.
番外編(観光)
マレーシアは東南アジアの中心で赤道付近にあります.そのため12月でも日本の夏を感じさせる暑さでした.また,マレー系,中華系,インド系などの様々な民族の方々が共存している国で,首都のクアラルンプールでは思っていた以上に日本にゆかりのある建物や商品が多かったです.例えば,至るところにセブンイレブンがあったり,ドン・キホーテやカラオケまねきねこがあったりと,住む分には困らないだろうなという印象でした.
開催場所がホテルだったため,ランチはビュッフェスタイルでとても満足でしたし,夕飯に食べた現地のご飯はどれも美味しかったです.市街地の治安はとても良く,夜でも活気づいているので観光地としても最高の場所だと思います.


おわりに
今回マレーシアで開催されたACM Multimedia Asia 2025に参加したことで,最近のAI研究の潮流や動向を肌で感じることが出来ました.自分の研究には何が足りないのか,どういう研究が本会議と相性が良いのかなど,多くの知見を得ることが出来て大変満足しています.初の国際学会でしたが,アジア圏の方が多かったのもあり,自分の英語力的にも丁度良い機会でした.今回の経験を基に今後の研究生活も一生懸命励んでまいりたいと思います.
