ゼミ合宿2025

こんにちは!電気通信大学 岡本研究室学域4年の小西と富澤です.

12月に学生9人(岡本研)と先生方4人で長野県の竜王スキーパークに行ってきました!!今回はそこでのゼミの内容や何をしたかなどを紹介します.

1日目

なんといっても長野にあるスキー場まではとっても遠いです.そのため,みんなで早起きして東京駅に7時に集合して新幹線で長野駅まで移動しました.また,長野駅からスキー場まででトラブルがありましたが,無事12時前にはスキー場につくことができました.

スキー場到着

そこから色々と準備をして13時ごろから17時ごろまで滑りました!みんなすごく楽しそうでした.

滑り

滑り終わってからは,熱いお風呂に入り,バイキングで夕食を取りました.

夕食

そして,お腹いっぱいの状態でゼミが開始...

今回のゼミではアイディアソンを行いました.テーマは推薦システムの「おすすめが最適になった世界は最適化」でした.

チームは学年ごとで分かれ,議論・プレゼン・先生方からの好評と2時間半ほど行いました.どのチームも議論が非常に活発で,先生方からの講評を通して,それぞれ「何が足りなかったのか」や「議論の難しさ」を学ぶことができました.ちなみに,優勝はM2チームでした.

ゼミ後はみんなでカードゲームを行いました.1日目は最初から最後まで非常に濃く楽しい時間を過ごすことができました.

2日目

朝食はバイキングでした,朝からモリモリ食べている人もいれば,パンだけみたいな人もいて個人の特徴がみられて面白かったです.

朝食が終わった後は荷物をホテルに預け,スキー場へ行って滑り始めました!

1日目よりも雪が降り積もっていて,とてもふかふかでした.

雪景色

1日目には行けなかった山頂付近まで登り,カフェに入ってみんなで昼食を食べました.山頂付近はとても寒く,みんな凍えていましたが,このカフェで温まることができました!

山頂

午後14時ごろまで滑り,帰る準備をし始めました.レンタル品を返すのに思ったより時間がかかりましたが,返却後に温泉に入れるくらいの時間の余裕ができて良かったです.

帰りはタクシーと電車を利用して帰りました.2日目はスキーやスノボを思う存分楽しむことができました.

今回の合宿はスケジュールがぱんぱんで少し大変だったかもしれませんが,2日間ともみなさん楽しそうに過ごしていて良かったです.

IDRユーザーフォーラム2025 参加報告(上田 茜)

こんにちは.電気通信大学 岡本研究室修士1年の上田です.

今回私は2025年11月26日に東京都千代田区にある一橋講堂にて開催された,国立情報学研究所主催のIDRユーザーフォーラム2025に参加しました.本記事では,ユーザーフォーラムの様子や感想などをお伝えします.

IDRユーザーフォーラムとは

IDRユーザーフォーラムは国立情報学研究所が主催する意見交換会のようなもので,国立情報学研究所は,企業などのデータの提供者とそのデータの利用者の橋渡しを行っています.ユーザーフォーラムでは,データの提供者•利用者間で交流を行うことができます.

セッションは主に4つあり,

  1. データ利用者による研究事例発表をするポスターセッション

  2. 各データ提供者によるトーク・ポスター発表をするデータ提供者セッション

  3. データ利用者による研究アイデア発表をするスタートアップセッション

  4. 招待講演と昨年度の優秀な発表による口頭発表セッション

となっています.

私は昨年も参加登録をしていたのですが,体調不良で当日登壇することができなかったため,登壇者としては初めての参加となりました.(昨年の参加報告はこちら:IDRユーザーフォーラム2024 参加報告(綾部 響己)

自身のポスター発表について

私はクックパッドデータセットを用いた料理レシピの可読性指標の構築をテーマに研究に取り組んでいます.発表時点でアイデア段階であったため,スタートアップセッションで参加しました.はじめにスライド1枚で1分間でライトニングトークを行い,その後65分間のポスター発表を行いました.

詳細はポスター資料をご覧ください.

ポスター発表では,主に他大学の先生や企業の方,国立情報学研究所の方から,可読性の定義付けについて深くコメントをいただいたり,料理レシピの単語分割に関する関連研究を紹介していただきました.また,会場が広くなかったことから,65分間ほぼ常に聴講者がいてくださったのですが,上手く説明ができていなかったため,より入念に準備をしようと思いました.

気になった発表

ポスターセッションから最も興味深かった研究を紹介します.

レビュー集約による商品比較表の作成と評価

LLMを用いて2つの商品(ex. bluetoothイヤホンの類似商品対)の比較が一目でできるレビュー集約表を作成するという研究で,具体的には,レビュー群から「観点」(「接続の良さ」などといった商品の特徴)を抽出して,その観点に対する全レビューをポジネガの両側面で要約するというものでした.商品の比較サイトはよく見かけますが,複数ユーザのレビュー文を活用して自動比較というサイトは見かけたことがなかったので,実現可能性が高く,実現すると非常に便利だと思いました.

おわりに

柔らかい雰囲気の学会で,緊張しすぎずに発表することができました.他のポスター発表も,我々生活者が便利になるような親しみやすい研究内容であり,個人的に興味本位で会場を回ることができました.私は研究アイデア段階での発表だったので,様々なバックグラウンドの方からアドバイスを受けたことで研究活動の視野を広げることができました.昨年同様入賞者の景品が豪華だったので,来年度の開催やその他学会への参加に向けて,今回いただいたアドバイスをもとにより研究活動に励みたいと思いました.

ACM Multimedia Asia 2025 参加報告(綾部 響己)

こんにちは.電気通信大学 岡本研究室修士1年の綾部です.私は不動産物件の外観画像を用いた研究をしています.今回,マレーシアのクアラルンプールで12/9から12/12まで開催されたACM Multimedia Asia 2025に参加してきましたので,本記事ではその参加報告をお伝えします.

ACM Multimedia Asia 2025概要

ACM Multimedia Asia 2025は,SIGMMが主催する会議です.本会議では,口頭発表やポスター発表,チュートリアル,パネルディスカッション,デモンストレーション,シンポジウムなど,マルチメディア分野のあらゆる側面を網羅する技術セッションを含む,幅広いプログラムが組まれています.ACM Multimedia Asia 2025のスコープは,マルチメディア分野における新技術の最前線と新たなユースケースを網羅し,技術と応用の双方の未来について議論し展望することを目的としてます.マルチメディア領域および関連応用分野における課題に対処する,新規性のある理論的・アルゴリズム的解決策を提示する研究論文の投稿を募集しています.

口頭発表について

私は本会議では不採択となってしまいましたが,Workshopの方で採択いただいたのでそちらで発表することとなりました.Workshopのタイトルは「Visual and Signal Communication Technologies in Design of Housing, Urban Spaces, Local Communities, and Human Behavior」です.その名のとおり,不動産物件に関する研究をしている自分にはピッタリのWorkshopだったため,とても良い機会でした.

実際に発表した論文やスライドは,以下のリンクからご覧になることが出来ます.タイトルは「Estimation of Fireproof Structure Class and Construction Year for Disaster Risk Assessment」です.

発表では,不動産物件の外観から,築年代や構造,種類をマルチタスクモデルを用いて推定し,そこから耐火構造を推定する,という内容を話しました.発表後はモデルの精度や前処理,解釈性などについての質問をいただきました.様々な議論が出来たので,今後の研究に活かしたいと思います.

発表の様子

気になった発表

口頭発表から3つ,興味深かった研究を紹介します.

Adaptive Inter-Modality Attention for Enhanced Cross-Domain Deepfake Detection Transferability

こちらは様々な自然画像および人間の顔画像のデータセットを用いて,モデルのDeepfake Detectionの転移可能性を検証する研究です.およそ10のデータセットを用いて相互関係を全て検証し,その上でドメイン適応を確認するということで,多くのモデルとデータで検証しているところに採択された論文の研究力を感じました.実世界における活用方法が想像できるような内容なので,どんどん発展して欲しいものです.これからの時代,生成AIによる画像やデータが世の中に溢れていく中で,それらの精度向上に伴いこういったAI画像などに対する検出力も同時に向上していくでしょう.現代の世の中の遷移に関係したホットな研究テーマで大変面白かったです.

NeuroSwift: A Lightweight Cross-Subject Framework for fMRI Visual Reconstruction of Complex Scenes

こちらの研究は,人が何かを見ているときに脳が発する神経的な電気信号を基に,その画像を拡散モデルを用いて再現する,というものです.fMRIを使用しているためコストの掛かるテーマではありますが,大変興味深いトピックで,そのような技術があること自体を知りませんでした.確かに拡散モデルの生成力があれば,電気信号のような人間が解釈できないデータを用いても画像を生成できるというのは納得できましたし,実際に発表内で紹介されている実例を見て本当に再現が出来ているということに驚きました.現時点では静的なデータセットにおける実験でしたが,将来的にはより現実的な研究をする予定とのことで,とても目を惹かれたトピックでした.

EmoSEM: Segment and Explain Emotion Stimuli in Visual Art

この発表は,SAMという画像から対象を切り取るセグメンテーションが得意なモデルとLLMを組み合わせて,美術品に対して鑑賞者が感じるであろう感情を説明させる,という研究です.絵画などを見たときに感じる安心感や恐ろしさなどの印象を局所的に説明することが可能なため,美術品に対する説明文を作成するのがより容易になるでしょう.また,SAMやLLMという強いモデルを上手く組み合わせる研究は現代のAI研究の手法として大変興味深く,タスク設計などの工夫点には膝を打ちました.今後は感情などの説明だけでなく,作品自体の背景や文脈などまで説明できるようになるでしょうし,私自身美術作品を見るのが好きなので,今後もチェックしたい研究でした.

番外編(観光)

マレーシアは東南アジアの中心で赤道付近にあります.そのため12月でも日本の夏を感じさせる暑さでした.また,マレー系,中華系,インド系などの様々な民族の方々が共存している国で,首都のクアラルンプールでは思っていた以上に日本にゆかりのある建物や商品が多かったです.例えば,至るところにセブンイレブンがあったり,ドン・キホーテやカラオケまねきねこがあったりと,住む分には困らないだろうなという印象でした.

開催場所がホテルだったため,ランチはビュッフェスタイルでとても満足でしたし,夕飯に食べた現地のご飯はどれも美味しかったです.市街地の治安はとても良く,夜でも活気づいているので観光地としても最高の場所だと思います.

お粥を熱する蒸気で海老を調理している様子

ココナッツジュース

ペトロナスツインタワー

おわりに

今回マレーシアで開催されたACM Multimedia Asia 2025に参加したことで,最近のAI研究の潮流や動向を肌で感じることが出来ました.自分の研究には何が足りないのか,どういう研究が本会議と相性が良いのかなど,多くの知見を得ることが出来て大変満足しています.初の国際学会でしたが,アジア圏の方が多かったのもあり,自分の英語力的にも丁度良い機会でした.今回の経験を基に今後の研究生活も一生懸命励んでまいりたいと思います.

ISIS 2025参加報告(羽切 まどか)

皆様こんにちは.電気通信大学 岡本一志研究室M2の羽切まどかと申します.今回私は韓国の清州で開催されたISIS 2025に参加してまいりました.本記事では11/6〜11/10までの参加状況をお届けします.

ISISとは

International Symposium on Advanced Intelligent Systems(ISIS)は,知能システム,人工知能機械学習ディープラーニングなど幅広い分野を扱う国際学会です.今回の発表件数は約170件,セッション数は15件ありました.参加者の大半は日本と韓国の学生で,活気のある雰囲気でした.

今回は韓国の清州にある忠北大学校が会場で,清州国際空港からバスで1時間とアクセスが非常に良かったです.

会場写真

自身の発表について

私は「Generation and annotation of item usage scenarios in e-commerce using large language models」というタイトルで発表しました.論文とスライドは以下でも公開しています.

内容は補完推薦の新しいアプローチのための基礎的調査になります.補完推薦とはカメラを購入したユーザに対しSDカードや三脚を推薦するといった,商品同士の組み合わせを考慮した推薦手法のことです.私は「利用シナリオ」を介することでより高精度に補完推薦できるのではないかという仮説に基づき,まずLLMが適切な利用シナリオを生成できるのかということを調査しました.

発表会場の聴講者は日本人が多かったものの,慣れない英語や学会特有の雰囲気に緊張してしまいました.質問内容は理解できても,英語で即座に回答する難しさを改めて痛感しました.しかし,その経験こそが貴重であり,今後の研究活動の励みになったと感じています.

番外編(食事)

1,2日目の晩御飯はサムギョプサルを食べました.店員さんがとても親切にお肉を焼いてくださいました.2日目は先生方3人と食事をしたのですが,真っ赤なチゲスープが出てきました.私が辛いものが苦手なため先生方で分けてもらっていたところ,その様子を見た店員さんが「除け者にされた」と勘違いしたらしく,「Only you」と言いながら新しいスープを出してくださいました.せっかくの好意を無下にできず食べてみましたが,辛さを通り越して痛覚しかありませんでした.優しさが辛いとはまさにこのことです.

食事写真1

3日目はBanquetで,ビュッフェ形式でした.その中に,そうめんに出汁をかけたにゅうめんのような料理があり,遠くにめんつゆの風味がして,思わず望郷の念を覚えるほどでした.完全に口がホームシック状態です.

4日目の夜はホテル近くの飲食店でクッパを注文しました.辛くないか事前に店員さんに確認し,出てきたのはネギたっぷりの美味しそうな一品...と思いきや,青いものの正体はネギではなく青唐辛子でした.気づく前に混ぜてしまったため,避けながら食べることに.人生で最も食べ進めるのに苦労した料理となりました.

食事写真2

おわりに

今回,韓国で開催されたISIS 2025に参加し,研究発表や議論を経験できたことは私にとって大変貴重な機会となりました.英語での質疑応答では課題も多く感じましたが,その分,自身の弱点や今後伸ばすべき点が明確になり,研究者として大きな学びを得ることができました.今回得た経験を糧に,今後もより一層研究に励んでいきたいと思います.

RecSys 2025 / RecSys Challenge 2025参加報告(寺﨑 海翔)

はじめに

こんにちは.電気通信大学 岡本研究室修士2年の寺﨑です.今回私は2025年9月22日〜26日にチェコプラハ(Prague)で開催された推薦システムに関する国際会議The ACM Conference on Recommender Systems(RecSys)に参加してきました.本記事ではRecSysの様子や感想についてお伝えします.

RecSys概要

RecSysは,採択率が例年約20%という低さで,推薦システム分野のトップカンファレンスとして知られています.今年で19回目の開催となり,1,000人を超える研究者やエンジニアなどが世界各国から参加しました.研究機関や大学だけでなく,GoogleAmazon,Meta,NetflixSpotifyなどの私たちの生活に身近な推薦システムに関わる企業も数多く参加しており,推薦システムに関する最新の研究成果,産業での応用などが発表されました.岡本研究室としては昨年に引き続き2年連続の参加となりました(昨年の参加報告はこちら:RecSys2024参加報告(山﨑 千寛)RecSys2024 / RecTour2024参加報告(徳武 悠)).

今年はチェコの首都プラハのO2 universumという,国際会議をはじめ,展示会やコンサートなども開催される大規模な多目的施設で開催されました.会場内は多くのホールに分かれており,本会議は1,2階にまたがるメインホールで,ワークショップとチュートリアルは2階の各ホールで開催されました.

O2 universum

発表内容について

私は,RecSysが主催するRecSys Challenge 2025という最先端のデータサイエンス,機械学習技術を用いて現実世界のビジネス課題に取り組む,推薦システム分野で世界的に高く評価されるコンペティションに,電気通信大学の情報学専攻デザイン思考・データサイエンス(Dx2)プログラムのメンバーが中心となって構成された8人(寺﨑 海翔,高河 聖傑,丸山 颯斗,Jin Yongzhi,綾部 響己,米田 岳斗,原田 慧,岡本 一志)のチーム「UEC_bootcamp_2025」として参加し,総合9位にランクイン,Academic部門において2位を受賞したため,その解法について発表しました.

詳細は以下のリンクからご覧いただけます.

発表では,作成した多様な特徴量について,一見似たようなものもあるがどのような違いがあるのか,各特徴量の次元数はどのように決定したか等の質問をいただきました.また,他チームの発表からも多くの刺激を受け,今後のコンペティションや研究活動に活かしていきたいと思いました.

発表の様子

受賞式

Track Highlights: Challenge

気になった発表について

Toward Universal User Representations: Contrastive Learning with Transformers and Embedding Ensembles

こちらは,RecSys Challenge 2025の優勝チームであるRECRUITの「rec2」チームの解法です.Contrastive Learning Transformer,Multi-task Learning with User Representation,Aggregated Feature Embeddingsという3種類のアプローチから得られた埋め込みをアンサンブルするという手法で,特にContrastive Learning Transformerが単体のアプローチの中で最高性能を発揮したとのことです.

Contrastive Learning Transformerは,同じユーザの過去と未来の行動の埋め込みを近づけ,異なるユーザの埋め込みを遠ざけるような対照学習により,ユーザの普遍的な表現を学習するというものです. 私たちも対照学習のアプローチは検討していたものの,同一ユーザの過去と未来の行動を近づけるアイデアは思いつかなかったため,非常に勉強になりました.また,最後のアンサンブルについても,私たちはL2正規化や重み付けによるシンプルなアプローチを採用していたため,スタッキングベースのニューラルネットワークを用いたアプローチはとても興味深かったです.会場で少しお話しする機会があり,このようなアプローチは今までの知識,経験に基づき考案されているとのことで,私も今後より多くのコンペティションに参加し,知識を蓄えていきたいと思いました.

Time to Split: Exploring Data Splitting Strategies for Offline Evaluation of Sequential Recommenders

こちらは,シーケンシャル推薦のオフライン評価におけるデータ分割手法に関する研究です.Leave-One-Out(LOO)は,ユーザの行動履歴の最後の1つをテストデータとする従来広く使われてきた手法ですが,未来の情報を利用してしまうデータリークや,テスト期間が現実的ではない非常に長いものになることを招き,現実的な推薦システムの評価と乖離する可能性があることが指摘されています.本研究では,あるタイムスタンプに基づきデータを分割するGlobal Temporal Split(GTS)における,テストデータの選択戦略としてLast,First,Random,All,Successiveの5つを比較しています.実験の結果,Last,Random,Successiveの3つの戦略がより現実的な評価であることを明らかにしています.

私が所属する岡本研究室では,推薦システムに関する研究が盛んに行われており,シーケンシャル推薦もその1つです.より現実的な評価手法を用いることは提案手法の有効性を正しく評価する上で非常に重要であるため,シーケンシャル推薦を研究するメンバーにとって参考になるものだと思い,興味深く拝聴し,帰国後共有しました.

Determinants of Users' Chance-Seeking Behavior in Search-Based Recommendation

こちらは,セレンディピティに関して,ユーザが偶然性を求める心理的要因を分析した研究です.これまでセレンディピティは,推薦にどのように偶然性を取り込むかというアルゴリズムに焦点を当てた研究が中心であり,ユーザが推薦でどのように偶然性を求めるかに焦点は当てられていませんでした.本研究では,推薦でユーザが偶然性を求める心理的要因を分析するために,2つの実験を行なっています.1つ目の実験では,文脈による影響を明らかにするために,「オンラインショッピングで買いたい商品を想像し,検索クエリを入力したうえで,検索結果にどの程度偶然性を含めたいか」を0〜100で答えてもらうというタスクを設定し,気分,予算,目標の具体性,商品知識の4つの要因が影響するかを分析した結果,目標が具体的であるほど偶然性を求めなくなることを明らかにしています.2つ目の実験では,個人の特性による影響を明らかにするために,ビッグファイブ,好奇心,曖昧さへの態度,最大化に焦点を当て分析した結果,外向性,多様的好奇心,曖昧さへの楽しみ,最大化などの特性が偶然性とポジティブな関係であることを明らかにしています.

セレンディピティを研究している研究室OBの方から,全ての企業がセレンディピティを自社の推薦システムに組み込むことを熱望しているわけでもないという話や,セレンディピティを考慮するべきタイミングについて興味があるという話を聞いたことがあったため,ユーザの心理的要因に着目した本研究は非常に興味深く感じました.

番外編(観光)

「百塔の都」と呼ばれるプラハは,中世ヨーロッパの美しい街並みが色濃く残っており,プラハ城,カレル橋,天文時計などの歴史的建造物を中心に観光も楽しみました.どこを歩いても絵になるような風景ばかりで,多くの人が気持ちよさそうにランニングやサイクリングを楽しんでいました.

プラハ城とモルダウ川に架かるカレル橋

また,チェコはビールの消費量が世界一であり,毎晩ビールと肉料理を中心とした地元料理を堪能しました.特に,「タルタル」というミンチ状にした生の牛肉をパンと一緒に食べる料理がとても美味しかったです.RecSys会場でも無料で提供されており,何度もおかわりしてしまいました.

Bredovský Dvůrで食べたタルタル

日程の後半には,研究室OBの山﨑さんと「Beer Spa」という,ビールの成分が含まれる貸切りのお風呂に浸かり,そばに設置されている蛇口からビールを注いで飲み,全身でビールを楽しむチェコならではの漫画のようなユニークな体験もできました.

Beer Spa

おわりに

デザイン思考・データサイエンス(Dx2)プログラムの国際会議付随のコンペに挑戦するという内容の授業「大学院データサイエンス実践演習2(通称ブートキャンプ)」の一環として参加した今回のRecSys Challenge 2025では,本来であれば授業の最後の解法発表をもって終了するものでしたが,チームとして粘り強く取り組んだ結果,入賞を果たし,実際にプラハでRecSysに参加,発表する機会を得ることができました.改めて,チームメンバー,RecSys参加を支援していただいたDx2プログラム,計算資源を提供してくださった庄野先生に感謝申し上げます.私自身の研究分野は推薦システムと異なる分野ですが,推薦システム分野の最先端の研究や産業での応用事例はとても興味深く,多くの刺激を受けました.今後もより一層,研究活動やコンペティションに励んでいきたいと思います.

JSAI2025参加報告(綾部 響己・上田 茜・細尾 佳意・羽切 まどか)

はじめに

こんにちは.電気通信大学 岡本研究室修士2年の羽切,修士1年の綾部,上田, 細尾です.今回私たちは,人工知能学会全国大会(JSAI)に参加してきました.本記事ではJSAIの様子や感想についてお伝えします.

JSAI概要

人工知能学会全国大会(JSAI)は日本最大級のAI学術イベントで,2025年で第39回となります.JSAI2025は2025年5月27日から30日までの4日間開催されました.会場は大阪府大阪市北区中之島にあるグランキューブ大阪大阪府立国際会議場)です.かなり規模の大きいイベントとなっており,国際セッションが3,一般セッションが11,私たちの発表したオーガナイズドセッションについては47も企画されていました.ポスターセッションでの発表も行いましたが,参加者の多い大会であると感じました.

発表内容について

大規模言語モデルを用いた料理レシピの曖昧表現補完(上田茜)

私は,料理レシピ投稿サイトに存在する曖昧表現を,大規模言語モデルを用いてわかりやすい表現に補完する方法について発表しました.曖昧表現の補完には,料理家が執筆したレシピを参照情報とする,検索拡張生成を活用したシステムを構築しました.有効性を検証する調理実験の結果,可読性の向上を明らかにしました.質疑応答中や発表終了後に,今後のアドバイスやお褒めの言葉も頂けて,修士でも引き継ぎ研究を頑張ろうと思いました.

大規模言語モデルによる商品利用シナリオの生成と評価(羽切まどか)

私は現在,「補完推薦」と呼ばれる推薦システムの研究を行っています.これは,たとえばカメラを購入したユーザーに対してSDカードを推薦する,といった仕組みです.今回の研究では,補完推薦の新たなアイデアとして,「あるアイテム(クエリアイテム)を使用するシナリオと,そのシナリオを実現するために必要なアイテムが補完関係にある」という仮説が正しいかどうかを検証しました. 具体的には,「クエリアイテム(カテゴリ)」のみを大規模言語モデル(LLM)に入力し,それに基づいてアイテムの利用シナリオを生成させる実験を行い,生成結果を人手で評価しました.発表当日は,オンラインで100人以上の方にご参加いただき,会場では立ち見が出るほど多くの方に聴講していただきました.とても緊張しましたが,無事に発表を終えることができ,また多くの貴重なアドバイスをいただき,大変有意義な時間となりました.

柑橘類を対象とした推薦システムの実現に向けた基礎的調査(細尾佳意)

私は,柑橘をテーマにして研究に取り組み,上記タイトルでポスター発表に参加してきました.多くの方にテーマに興味を持っていただき,説明対応の連続でとても充実し,研究理解が加速する時間でした.主に,誰が嬉しい推薦なのかや,個人同士の好みをどう比較しているのかなどの質問をいただき,研究の意義の部分を改めて再認識することができたことに成長を感じました.多くの方が,この嗜好を取り扱う面に興味を持っていただき,様々な発展先の意見やどのように実験や調査を進めていくべきかのコツもいただきました.取り組むべき課題が明らかになりながらも,自分の研究の面白さにさらに気づけ,この感覚を忘れないように今後も取り組んでいきたいです.

深層学習を用いた物件外観画像による築年代推定法の検討(綾部響己)

タイトルの通りですが,私は不動産物件の築年代を外観画像から推定することについて研究しており,その内容を発表してきました.主に頂いたコメントとしては,この研究はどういう意義があるの?であったり,解釈性やデータセットの特徴など,普段のゼミでも指摘されているようなことを質問されてしまいました.こういった部分については発表内でしっかり伝えるべきだったなと反省はありましたが,興味深い,面白いという意見も伺うことができ,大変有意義な時間となりました.

また,「不動産とAI」というセッションでの発表だったため,全ての発表後には今後の不動産関連研究についてのディスカッションの時間も設けられました.ここでは主に不動産データに対する法令や活用について議論が進み,全体を通して,産学官連携して取り組む姿勢を感じました.短い時間でしたが,貴重なお話を伺うことができました.

気になった発表について

Neural Additive Modelsの株式ファクターモデルへの応用

(綾部)こちらは,株価予測についてNeural Additive Models(NAM)を用いるというものです.NAMというモデル構造を初めて知ったのですが,全結合層のみのNeural Network Modelに対して特徴量への解釈性を高め,かつ精度を犠牲にしないというモデルで大変興味深かったです.特に,特殊な非線形変換をサブネットワークの結合部に噛ませることで,モデルが安定した挙動を示すということで,今後NAMが研究されていくのでは?という期待感を感じさせる研究でした.

Vision-Language Model における性別に対する嗜好の偏り

(羽切)この研究では,Vision-Language Model(VLM)がどのような嗜好の偏り(バイアス)を持っているのかを検証したものです.男女それぞれの画像をVLMに与え,「どちらの画像の方がより魅力的ですか?」という質問を投げかけるという実験を行なっていました.その結果,3種類の全てのモデルにおいて女性の画像を「魅力的」と判断する傾向が見られました.しかし,その判断理由を問いかけると「照明やコントラスト」「構図」など性別とは直接関係のない要素を根拠として挙げることが多かったそうです.実験では画像生成を用いて性別以外の条件を全く同じにした画像を与えているので,そうした要因は排除されているはずです.VLMも言い訳をするんだなと感心しました.また,この研究に限った話ではないのですが,バイアスを含むような問いかけを行うとLLMが回答を拒否するケースも多くあるそうです.こうした人間でも難しいバイアスの扱いについて,今後どのように改善されていくのか,非常に興味深く感じました.

対話シミュレーションを用いた性格特性分析システムの開発

(上田)この研究は,LLMを用いた自律エージェントが対話シミュレーションを通じて性格特性を分析するシステムを提案している研究です.性格特性の分析とは,よくある性格診断のようなもので,個人的に最近よく受ける機会があり親和性があったのと,LLMをエージェントとして利用している,という2点で興味を持ち,発表を聴きました.性格特性の分析において,自己評価は信頼性が低いため他者評価を利用したいというモチベーションから,LLMエージェントを他者として扱ったそうです.対話状況の設定から自動評定までをLLMが一貫して行うチャットベースのシステムで,プレゼン中にシステムを実際に動かした際の様子も見ることかできました.自然に会話をするだけで,自分の性格分析をしてくれるのは大変興味深かったです.

食べ物の好みの脳計算過程:深層学習によるモデリング

(細尾)この研究は,食品の「好み(主観的価値)」が脳でどのように計算されているかを,視覚情報をもとに予測する深層学習モデル(DCNN)を使って明らかにしようとしたものです.200人の食品画像に対する「好き」「美味しそう」「健康そう」のスコアの評価データをもとに,ConvNeXtなどのモデルを用いて学習・予測し,画像のどの特徴(色,健康性,美味しさなど)がどのDCNN層で表現されているかを分析していました.自分としては,食べ物の美味しいをどう評価しているのかを定量的に表すことができるのかと気になり,聴衆として参加しました.単なる画像認識でなく,人間の「嗜好」の計算過程を模倣・可視化しようとした姿勢がユニークだなと感じました.

大阪観光

(細尾)1日目.皆で朝早く出発して飛行機で会場のある大阪に向かいました.到着して落ち着いたのが昼頃だったので,同期と一緒に近くの人気なラーメン屋さんに向かいました!

オフィス街も近いお店だったので長ーい列ができていました.そこで私たちは,あるゲームをしました.その名も「○○○ in the loop ゲーム」です.ルールはシンプルで,あるお題を出して,〇〇に入る単語を当てるゲームです.しかし,出題者は本研究室で皆で読んでいる「Human in the loop 機械学習」を模倣しなければなりません.例えば,「女性のみにアノテーションをお願いする場合は?」に対して,「Women in the loop」が答えになります.面白いですね.

そうこうしている間に,ようやく順番が回ってきました.せっかく遠い地までやってきたということで肉寿司もみんなで食べました!柑橘がうまく活用されていて,高級感がある一杯でした!

お腹も満たしたので,その後現地入りして発表に挑みました.

(上田)2日目の空き時間に,個人的にずっと食べたかった「りくろーおじさんのチーズケーキ」を食べに行きました!りくろーおじさんは,大阪にしかないお店で,焼きたてのふわっふわなチーズケーキが有名です.ホール単位での販売なので,ワンホールをゲットし,近くの公園で4等分して焼きたてを食べました.卵感が非常に強くレーズンのアクセントもあり,食べやすく美味しかったです.これだけ美味しいとカロリーも気になりますが,手で持つのが難しいくらい軽くてふわふわだったので,ゼロカロリーだと思います.一緒に買いに行って食べてくれた3人には感謝の気持ちでいっぱいです.

(綾部)3日目のプログラムが終了してからは,先生と学生で新世界にある串カツを頂きました.様々な種類の串カツが頂けて大変美味しかったです.柑橘ソムリエである細尾くんは「みかん」の串カツも食べていました.美味しいのか気になるところです.摩訶不思議な串カツはお店ならではですね.自分はサーモンの串カツが衝撃的でした.どんな味なんだろうと思って食べてみたら,普通に鮭のフライで,確かにそうだよなと思いました.ご当地のグルメを色々堪能できるのも,泊まりがけの学会参加の醍醐味だと思います.

(羽切)JSAI2025の開催期間中,大阪万博が開催されており,街の至る所にミャクミャク様が顕現しておられました.新世界に串カツを食べに行った際,「ミャクミャク なりきりフェイスパック」というものを見つけ,思わず購入しました.ホテルに戻って試してみたところ,顔面にミャクミャク様が寄生しました.鏡を見るたびに笑えたのでとても良い商品だと思います.観光より食い意地を満たしていたので特筆するような名所にはあまり行っていませんが,大阪名物のかすうどんや551の豚まん,くくるのたこ焼きを食べました.生まれも育ちも関東なので関西の味に新鮮さを感じました.あとエスカレーターに乗る時,ついいつもの癖で左側に乗ってしまい慌てて右側に寄るということを5回はやりました.文化圏の違いって面白いですね.

おわりに

今回のJSAI2025の参加を通して様々な方と研究に関して議論を行い,新しい知見を得ることができました.規模が大きい学会なだけに,様々な分野や技術に触れることができ、大変充実した学会参加となりました.今回の学会参加は,私たち学生にとって今後の研究や学会参加に対する強いモチベーションに繋がる良い経験となりました.引き続き研究活動に励んでまいります.

DEIM2025参加報告(井上 歩香・西岡 興平・齋藤 香莉菜)

はじめに

こんにちは.電気通信大学 岡本研究室修士2年の井上,西岡,学域4年の齋藤です.今回私たちは,データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM)に参加してきました.本記事ではDEIMの様子や感想についてお伝えします.

DEIM概要

データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM)は,データ工学と情報マネジメントに関する様々な研究テーマを発表する学会です.2/27〜3/1はオンラインでのプレゼンテーション,3/3〜3/4は福岡国際会議場でオンサイトでのポスターセッションが行われました.

トラックは,

の5つに分かれていました.また,ポスターセッションだけでなくチュートリアルの発表や,BoFセッション,DBSJアワーなども行われました.

発表内容について

アスペクトに着目した読者に影響を与える映画レビューの分析(井上 歩香)

私は映画のレビューをアスペクトに着目して分析した研究について発表しました.映画レビューに含まれるアスペクトの抽出,読者に影響を与えるレビューのアンケート調査,レビューの並び替えを行いました.その結果映画のレビューから19種類のアスペクトを抽出し,ストーリーに関する記述や,映画に対する推察に関する記述が読者に影響を与えていることなどを明らかにしました.

文字起こしデータを用いたラジオ番組の基礎的調査(西岡 興平)

私は,2024年7月の1ヶ月間に録音したラジオ番組のデータを文字起こしし,そのデータを対象に基礎的な調査を行った結果を発表しました.文字起こしデータの分析結果より,放送局や番組ジャンル,放送時間帯ごとに出現する単語数や品詞数の分布に差異が見られることを確認しました.

色彩調和に基づくファッションコーディネートの分析(齋藤 香莉菜)

私は色彩調和に着目したファッションコーディネートデータセット分析の研究について発表しました.実験結果より,頻度の高い色彩調和型が時系列によって変化することや,色彩調和度とコーディネートに対するいいねの数に相関がないことがわかりました.

気になった発表

アスペクト情報を活用した知識グラフ上のパス推論による説明可能なホテル推薦システム

(井上)ホテルの予約サービスで,より理解しやすい推薦理由をユーザに提示することで,納得感のある選択を支援する推薦システムの開発を目指すという研究です.ホテルのユーザーレビューに含まれる立地や風呂などのアスペクト情報を活用した知識グラフの構築し,知識グラフをもとに推薦を行い,ユーザとホテル間のパスを決定することで,アスペクトを重視したより理解しやすい推薦理由の説明を提供します.自身もレビューのアスペクトに着目した研究を行っているため,色々お話をすることができました.

ニュース報道が引き起こすソーシャルメディアユーザの感情に基づくメディアの分析

(西岡)これはニュースによって引き起こされた感情をもとに,各メディアの特性を分析する手法を提案している研究です.この研究では,ニュース記事が引用されたツイートのうち,ユーザー自身が記述した部分のみを抽出し,T5を用いた感情分析器で解析し,そこからニュース記事ごとの感情ベクトルを算出しています.対象となるメディアはWebサイト,テレビ,新聞・雑誌で,ニュースがもたらす影響力を測ることを目的としています.私の研究ではラジオ番組のテキスト分析を行っているため,これらを組み合わせることで,新たなメディアの特性や影響の違いが見えてくるのではないかと考え,興味を持ちました.

Mutual Proximityに基づくTop-K推薦における人気バイアスの制御手法

(齋藤)これはユーザにK個のアイテムを推薦する際に,人気アイテムに推薦が偏る現象に対して推薦精度と人気バイアスを高速に制御する手法を提案した研究です.この研究では,MLが出力したスコアを,アイテムからみたユーザの近接度とユーザからみたアイテムの近接度の積にスケーリングすることで,精度と人気バイアスのトレードオフ制御が可能となります.これはアイテムからみた近接度を考慮することで人気バイアスを低減し,学習後のスコアをスケーリングするので再学習が不要というメリットがあります.MLのアルゴリズムに依存しない汎用的な手法であるため,スコアの後処理にぜひ試してみたいと思いました.

番外編(観光)

会場の福岡国際会議場は福岡県の都市部に近いことから,会期中は福岡ならではの美味しい食べ物を存分に堪能しました.

福岡といったらやっぱりもつ鍋ですね.5人前を2人前と3人前で頼んでしまい2鍋に分かれて来るというプチハプニングもありましたが,大変美味しかったです.

研究室OBである簀河原さんと先生方と一緒に食べたごま鯖です.この世の鯖は全部ごま鯖でいいと思いました.

前乗りで少し時間があったため太宰府天満宮にも行ってきました.

おわりに

今回のDEIMの参加を通して様々な方と研究に関して議論を行い,新しい知見を得ることができました.初めての学会参加のため緊張もありましたが,無事終えることができてよかったです.また,学会の前後では観光やグルメも楽しむことができ,充実した学会となりました.